『ナナ…?』
私は必死に涙を隠そうとした。
でも涙は止まってはくれなかった。
『…ナナごめんな…?俺お前を守りたかった。でも俺はまだ中学生だし、何にも出来ないんだ…』
『うん…』
『高校になったらお前と暮らす。お前を迎えに行くから、それまで待っててくれる?』
『うん…うん…』
『約束するから』
私達は指切りをした。
お兄ちゃんは必ず私を迎えに来てくれるって信じていた。
でもね、お兄ちゃん。
何で迎えに来てくれなかったの?
私…お兄ちゃんの事信じていたのに。
あの指切りは…
嘘だったの?
そして私達はバラバラになった。
お父さんとお母さんとの思い出の家を出ていった。
お兄ちゃんに別れを告げ、私は新しい家と向かった。
―ピンポーン…
叔母さんの家のチャイムを鳴らす。
『…あら…来たの?』
中から出来たのは、怖い顔をした叔母さんだった。
『これからよろしくお願いします』
私はお辞儀をした。
『…上がりなさい』
『はい…』
ここが私の新しい家。
でもこの新しい家で辛い事ばかりだった。
私の居場所なんてどこにもなかった。
『ここがあんたの部屋よ』
と連れて来られた場所。
ただの物置だった。
『片付けて使ってちょうだい』
6畳という狭い部屋。
とても窮屈で仕方がなかった。


