この涙が枯れるまで


翌日、両親の葬式が行われた。


私は泣かなかった。

もう泣かないって決めたから。



両親が火葬されていく。


私はただ見つめる事しかできなかった。


胸が…

苦しい。

まだ実感しない部分があって、まだ両親の死に否定している自分がいた。

頑張らなくちゃ…

お父さんがいったように。
私は約束を守る…

ただそれだけを思った。



葬式が終わり、親戚の人に私達は呼ばれた。


『これからの事話すわよ』

ゴクン…

私は唾を飲んだ。

私達はこれからどこへ行くのだろう。

どうすればいいのだろう。


不安がよぎる。


『まず、涼君は私達のところへ来なさい』


それを聞いた兄は、

『は?何で俺だけ?ナナは?』


『ナナちゃんは…隣の県の叔母さんの所よ』


隣の県の叔母さんの家…


私はあの叔母さんが嫌いだった。


小さい頃遊びに行った時すごく怒られたから。

多分叔母さんも私の事嫌いだと思う。


すごい嫌だ。

でも一番嫌なのはお兄ちゃんと離れる事。

お兄ちゃんとは

離れたくない。



私はその場所から逃げた。


溢れ出す涙を抑えて。


遠くからお兄ちゃんの怒った声が聞こえる。


お兄ちゃん…


お兄ちゃん…

私にはお兄ちゃんしかいないのに。


お兄ちゃんを取らないで…