ナナといると僕は何だか不思議な気持ちになる。

一つのトゲが抜かれるかのようになる。


そんな気がしたんだ。


『歩~俺バイトあるから帰る~』

『おーじゃあな』


僕は歩達に別れを告げて帰っていった。


『優』


突然、ナナが僕を呼んだ。

『どうした?』

『うん…優ってさ、小林さんと別れたの?』


『…おー』


『でもまだ好きでしょ?』


何故ナナは分かるのだろう。

僕がまだ百合を好きだって。

『優分かりやすいよ?優の弱味にぎっちゃった』


嬉しそうにナナは八重歯を出して笑う。

『言うなよ?俺バカみたいじゃん』


『…バカじゃないよ…仕方ないよ…』

突然ナナの顔が曇った。


『?』


『なんてね!また明日ね』

ナナは去っていった。


ナナは何が言いたかったのだろう。


この時膨らんだ気持ち。

それは、

もっとナナの事が知りたい…

という気持ちだったんだ。


僕はバイトに向かった。


百合と別れた後バイトをした店でまだ僕はバイトをしている。


楽しいんだ。


『おはようございます』


『優おはよ』


そこには、あみが居た。

あみとはバイトが同じだった。

いや、あみが入って来たんだ。


あみと会うのは、あのお祭りの時以来。


少し申し訳ない気がしたけど、あみは変わらなかった。



百合…僕は少しずつ前に進んでるよ。


僕は百合を忘れられるかな…

百合の存在は、

僕の中で


一番大きいんだ。