藤堂は近藤と伊東が京都に着いてから数日後、更に入隊希望の者たちを伴って帰京していたのだ。


「話戻すけど、伊東先生はすごいお方だよ」


コホンと咳払いをしてどこか自慢気な藤堂。

それを見た楓は一瞬表情を曇らせた。


「へぇ。藤堂組長がそう言うくらいだからきっと素晴らしい方なんでしょうね」

楓が何かを考えてるうちに、浅野が相槌を打って笑っていた。


(お人好しで優しいのはええけど流されやすいのが難点やな)


伊東についての話を、藤堂から聞いている浅野に楓は冷たい視線を送った。




(狐……やもしれんな)



確証も何もない。

けれども楓の直感がそう言ったのだった。