「辻本に聞きたいことがある。それに伊藤にも」






「何よ」







「今の『W』サーバの核、もしくは保管装置を交換したことはあるか。
つまり、取り換えたことはあるかってことなんだが」




「なんでそんなことを聞くのよ」






「そこが重要なんだ。
伊藤の知り合いのホークが一度調べて見つからなかったんだ。
きっと、現在のサーバにはないはずだ。
だとすると、仮もしくは古があるはずだと思うんだ。
どうだ。
ここ何年かでサーバの核を取り換えたことはないか」










辻本は黙り始めた。





言いわけを考えているのか…それとも思いだしているのか…














「したわよ。十年前に…」





「そうか。やはり…」







「あの時は仕方がなかったの。
当時の『W』基地は壊滅的ダメージを受けて逃げるときサーバをいじったの。
データを保管装置に入れてね。
それからしばらくして今の基地を造るときに最新のメインサーバにデータを移したわ」









「隠しファイル、もしくはロックがかかっていたのかもしれない。
その保管されたものの中に『Xファイル』が入っているはずだ。
今はどこにあるんだ」







「まだ、見せるとは一言も言ってない」









「見せてくれ」








「…ダメよ」











「昔のデータだ。もう十年前の情報だ。
俺の貸しも含めて構わない」










辻本は考え始めた。
どうするべきなのかを考えているのだろう。










俺は待った。








辻本の答え一つで今後の予定が変わるからだ。











「いいわよ。でも条件がある」