コン、コン、コン
_コンコン


扉を叩く音は止まる気配も無く鳴り続ける。

この用具室は広くも無いが狭くも無い。しかし、窓も無い、出入口は一つしか無い。また、その出入口も何者かが扉の前でこちらを呼び掛けている。


勝又 莉奈
「ど…どうするの?これじゃあ出るに出れない…。

早川 信太郎
「これは我慢比べ、下手に出ずに耐えましょう。



コンコンコン コン


用具室の扉は部室の扉と違って横に隙間は無い、足元の隙間も相手の靴程度しか見えない。

コン、コンコンコン!!コンコンコンコン!!!


急に叩く回数が増えた。

六十地 美月
「……ビク!!

紫流 彰
「……………。


紫流は少し扉に近づき、身を低くして頭を地面につけた。小さな隙間を覗いた。


紫流 彰
『……学生靴?』


紫流は音をたてないように立ち上がった、そしてゆっくりと下がった。


佐藤 愛理
「……見えた?

紫流 彰
「うちの学校の学生鞄は見えたが肝心の顔は見えない…。


コン!!コン!!コン!!
_コンコンコンコン!!!

扉の向こうの者は何も言わずに、ただ扉を叩いていた。