バキャっ!!!


と音をたてて彼女のケータイが壁にたたき付けられる


本気でおびえる彼女を見て


すこし我に返ったぼくは


「パフォーマンスだよ」


とつぶやく


そこには


本気じゃなかったことをアピールするためにはいささかリアルすぎる


くだけたケータイの死骸がある


彼女のおびえる空間の中で


最後まで役者としてふるまおうと


とっておきの笑みを返すのだが


それももはや


パフォーマンスとしてしか受けとられないことを


ぼくは知る