「優ー!」
駅で真っ先に迎えてくれたのは、家族と友達。

姉貴も随分と大人びてきた。

健は以前よりもぐんと背が伸び、男らしい体になっていた。

弘はあまり変わっていないが、暗い表情が薄くなり、表情が和らいでいた。

真央を見てみると、腕が綺麗についている。

「うで、成功したか?」
「まぁな。結構苦労したんだぞ。」
鼻を鳴らして、弘が微笑んだ。

「さ、早く家に帰ろ。お友達も一緒にどうぞ。」
「喜んで!」
腕を大きく広げて、健が笑った。

「ちょっと待った。」
皆をとめると、俺は先に行くように言ってから、菊野病院に向かった。

211号室は、未だ誰も入ってこない。
その方が好都合だった。

3年前、ここで出会ったんだな。
ツツジは、懸命にここで咲き誇った。

ツツジと言う奇跡の花が・・・ここに咲いた。

写真が落ちた時、「ユウ、落とすなよ」と、そんな声がした気がした。