「そ、肝試し。」
首を傾げる俺に、拓馬がニッと笑った。
「菊野病院って、この近くだろ?あの病院、死人が多い上に入院患者すくねぇから・・・丁度いいんじゃねぇかな?」
「ん~、どーすっかな~?」
「怖ぇのか?」
挑発するような健の口調に、俺はムッとして言った。
「怖くねぇよ。幽霊なんてただの死人だろ?」
俺は幽霊とか妖怪なんていても怖くなかった。
「そか、なら今日の夜中2時・・・丑三つ時(幽霊の出やすいと言われる時間帯)に、菊の病院に集合な。」
「「おっし!」」
3人でガッツポーズをとると、俺はニッとして言った。
「幽霊なんて上等だっつうの!」

・・・・・・・・・・

約束の夜中2時。
俺は菊野病院の前に立った。
「おーい、優!」
拓馬と健が走って手を振る。
「遅れた?」
「遅いっての。」
自動ドアを開くと、中は閑散としていて、患者も看護婦もほとんどいなく、薄暗い光が廊下に点いているだけ。
まるで、「入って来い」と誘っているみたいだ。
「・・・行くか。」
「行きますか・・・。」