黄昏色に、さようなら。



『ねえ、フーカ』


「うん?」


内緒話をするような耳打ちに、小首をかしげる。


『まだ、純ちゃんを引き受けてくれる気にはならない?』


「……」


三年前、


私は同じことを問われ、そして『否』と答えた。


あの時は、お父さんとお母さんの安否が分からなかったし、純ちゃんの気持ちも知らなかった。


お祖父ちゃんやお祖母ちゃん、純ちゃん、そして良子ちゃん。


大切な人たちの居る『元の世界へ帰る』、


想いを残しながらも、私には、その選択しかできなかった。


胸の奥が締め付けられるような、


純ちゃんに対するこの気持ちはたぶん、恋なのだろう。


信じられないけど、悔しいけど、否定できない確かな想い。


でも。


「……うん。やっぱり」


出来ない、と私は頭を振った。


彼女の存在に気付き、純ちゃんにこのことを話そうと私が言った時、彼女はそれを、頑として拒んだ。


いつ消えてしまうかも分からない、見ることの、感じることのできない自分の存在を明かした所で、いらぬ痛みを背負わせることにしかならないからと。


そして、今も、こうして純ちゃんの傍らに在る彼女。


根本が同じだから、よくわかる。


どんな思いで彼女が、私にそれを問うのかを。


それを知っていて、純ちゃんの手を取ることは、私にはできない。


「ごめんね」


『そっか、残念……。今回は、せっかく純ちゃんが素直な反応してるから、いけると思ったんでけどなぁ』


そう言って、彼女は少女めいた仕草で唇を尖らせる。