黄昏色に、さようなら。


風花の魂に導かれ命を救われた私は、否応なくその熾烈な戦いに巻き込まれて行き、その過程で自分の中に眠っていた『力』に目覚めた。


あらゆる超能力を吸収し相手を無力化し、その力を自分のものとする事の出来る最強の能力『ゴッド・ハンド』。


神の手と呼ばれるその力の発現によって、グリードは壊滅した。


したはずだったのに。


その残党が、この世界に紛れ込んできた。


『私の力』を使って、この世界に再び災いの種を蒔くために。


三年前、この世界に戻るときに、


純ちゃんの手で、三か月間の記憶と共に体の奥深くに封印された力は今、再び純ちゃんの手によって解き放たれた。


失われていた記憶と共に手の内にある、この世界には存在しえない、強大な力。


それを確かめるように、私はぐっと両手を握りしめた。


「分かった」


この力が、誰かのために使えるなら、


今度は、迷ったりしない。


こんな私を、『強い』と言ってくれたあの人のためにも。


こうして今も尚、私のために力を尽くしてくれる、もう一人の風花のためにも。


そして、守りたい、大切な人たちのためにも、


私ができることがあるなら、もう迷わない。


「分かったよ、風花ちゃん」


決意を込めて、力強くうなずく。


彼女は小さく頷くと、柔らかい笑みを浮かべ、私の肩にそっと両手を伸ばし抱き寄せた。


フンワリと、微かに漂う花の香り。


彼女の大好きだったという金木犀の甘い香りが、優しく心に染み入る。