黄昏色に、さようなら。


切ないね……。


どうしようもないことだけど、切ないね。


込み上げる熱いものが、視界を揺らす。


すうっと上げられた彼女の右手が、私の左頬に優しく触れる。


その途端スッと流れ込んで来たのは、ここに至るまでの経緯と、今、私が置かれている状況。


その情報が示唆しているのは、眼前に迫りくる危機だった。


医療技術とESP開発が進んでいるものの、一見、平和に見えたパラレル・ワールド。


でも、その平和の裏で繰り広げられていたのは、超能力者どうしの壮絶な戦いだった。


超能力者による世界支配をもくろむ地下組織『グリード』。


この組織は、『ESP狩り』と称して、その能力の強弱に関わらず超能力を持つものを片っ端からその身の内に取り込み、洗脳処置を施して工作員として使うという悪辣な手法で、確実にその勢力を強め急速に肥大していた。


対する公的組織は、特別国家公務員の肩書を持つ能力者たちを中心に構成された国際的な秘密組織『ガーディアン』。


ここに、純ちゃんや風花も含まれていた。


私が命を救われた場所、あの国営の研究所は表向きは普通の医療研究施設だったけど、実際は『ガーディアン』の隠れ蓑だった。


そして、私があの世界に引き寄せられる一年前。


風花は『ガーディアンを内側から突き崩す為の駒』に仕立てる目的でグリードに狙われ、それを拒み、戦いの中で命を落としていた。


共に行動していた、恋人である純ちゃんの目の前で。


それが、公的には『政府要人を狙ったテロに巻き込まれた事故死』となっている風花の死の真実。