黄昏色に、さようなら。


『風花(フーカ)』


私を、フーカと呼ぶ、


白く輝く眩しい空間に響く、どこか聞き覚えのある、ハイトーンの女の子の声音。


それが『自分自身の声』だと、理解した瞬間。


目の前に、白いワンピース姿の女の子が立っていた。


小柄で細身の体躯。


少し童顔で幼い少女めいた白皙の頬と、黒目がちな大きな瞳。


サラサラと揺れている、癖のないストレートのセミロングの銀色の髪。


彼女の超能力(ちから)を象徴する、美しい髪の色以外、


まるで鏡を見ているように、自分と同じ姿をしたその少女が誰なのか、


私は、もう、『知っていた』。


彼女は、もう一人の私。


パラレルワールドで、若くしてその命を散らした、私の分身。


「風花……ちゃん」


私の呼び声に、彼女はけぶるような笑みを浮かべる。


『フーカ、ごめんね。また、あなたを巻き込んでしまったね』


申し訳なさそうに瞳を揺らす彼女に、『ううん』と頭を振る。


三年前、


本当なら私は、両親と一緒にあの事故で死ぬはずだった。


例え即死は免れても、この世界の医療技術では到底助からなかった。


その瀕死の私を、あのパラレルワールドに呼び寄せ、命を救ってくれたのは、彼女の魂。


彼女は、私の命を救い、


もう一度生きるチャンスを、与えてくれた人。


その超能力(ちから)故に、肉体が滅んだ後も魂だけの存在となった彼女は、


今も尚、誰にも知られることもなく、愛する人の傍らに在るのだろう。


その愛する人にすら、気付かれないまま――。