「生徒会長には色んな噂があるからね。ブラコンだとかホモだとか外人好きとか…どれが本当か分かんないし。」


とナオが淡々と話す。


「そうなんや…」


やっぱ、人気だからこそ、噂が沢山あるんだろうなあ…と考えた。


「どうしたの?生徒会長に一目惚れー?」


桃子ちゃんが『うしし』と笑いながら私の頬を人差し指で突く。


「ち、ちゃうよっ!ただ、この学校の事よく知らないから…生徒会長ってどんな人なのかなって思っただけ!」


我ながら、苦しい言い訳だと思う。


「ふうーん?それより、聞くなら、ヒカル様の方がいいよ!なんたって、弟だし」


う……そうなんだけど。なんとなく、ヤツに聞くのは渋ってしまう。


「呼んだかい!?」


…呼んでねーよ。


教室に入ってきた妖精を、私は横目で見た。


「ミッキーが、生徒会長の事知りたいんだってー」


桃子ちゃんがそう言うと、妖精は笑った。


「そうかい、そうかい!そんなに僕に聞きたいのかい!」


妖精は笑いながらこちらへ近付いてくる。


「ミッキーはそんなにブラザーがす…」


……バキッ!!
と音を立てて、手に握っていたシャープペンシルを潰した。


“それ以上言ったら、このシャープペンシルのようにしてやるから”


と口パクで言った。


妖精はそれを理解した。