――喫茶店に入り、コーヒーとココアを頼んだ。

温かな湯気が立つココアが運ばれてくると、少年はおいしそうに一口を飲んで、

「僕は、天馬って言います。これは、うちで飼ってる猫のテン。お姉さんの名前は?」

と、聞いてきた。

「私は、理沙…。その猫、テンちゃんって言うんだ…」

コーヒーにお砂糖を入れ、軽くかき混ぜた。

「うん、白テンっているでしょ? あれに似てるから…だから、テン」

猫は、真っ白な毛並みに赤い首輪がよく似合っていた。

「そっか、テンに似てるからなんだー」

「うん。ねぇ、理沙?」

急に名前を呼ばれて、びくりとする。