授業が終わり
急いで教科書をバックに詰め込み肩にかけた。
奈緒が後ろを振り返る。
『こまちちゃん、もー帰るの?』
『うん。さっき、叔母さんからメールきて…
なんか、用事あるから迎えに来るって…』
『えっ!?…大丈夫?』
何か良くない緊急事態を想像したらしく、心配げに見つめた。
『違う!違う!
手伝いに、かり出されるだけ』
ほっとした表情に変わった奈緒は
今度は、少し口を尖らせた。
『なーんだ。
これから、部活の見学に
付き合って貰おーと思ってたのにぃ…』
『ごめんね。
明日で良ければ付き合うから』
『わーい、じゃ、明日ね』
また、コロッと人なつっこい笑顔になる。
『じゃあねぇ』と手を振る奈緒に手を振り返し
アタシは急いで教室を出た。
ケイちゃんのメールには
ジーンズ会社の広告ポスターの打合せと書いてあった。
今までは、打合せの段階で
アタシが加わる事はなかったんだけど。
もしかしたら…
帰りに何か美味しいモノ食べに
連れてってくれるのかな、
アタシは御気楽な事を考えながら
校門に向かった。