「ねぇ、お婆さん。サンタさんって本当にいるのかな?」


 止むことを知らない雪は、どんどん地へと降り注ぎ、世界を白く白く染め上げてゆく。

 朝を迎えたジャックの家の暖炉には、炎が赤々と燃えていた。

 ジャックは晩ご飯を食べると、いつもより早く寝床についた。

 朝起きて、枕元にサンタさんからのプレゼントが無かったことに落ち込んだジャックは、冒頭のような言葉をお婆さんに投げ掛けたのだ。


「そうだねぇ……いると信じている子の元にだけ、サンタさんは現れるんだよ」

「僕、サンタさんの存在は信じてる。けど、プレゼントは置いてなかった……」

「おやおや……。きっとサンタさんは、全国の子供達にプレゼントを配っているから、忙しいんだねぇ。大丈夫、信じる気持ちを忘れなければ、サンタさんはきっと来るよ」


 お婆さんはニコリと笑って見せたけど、ジャックの表情は暗いまま。


「ジャックはサンタさんに、何をお願いしたんだい?」

「……お母さんと、お父さん。でもね、今の生活で十分幸せなのに、お母さんとお父さんがほしいなんて……わがままだよね。分かってるんだ」