首がまた180度回転し、
元の向きへと戻る。
そして
僕に背を向けていたヤツは、
足を動かし振り返った。
僕の前には仁王立ちした、
お母さんの皮をかぶった
バケモノ。
包丁を握り締めたまま
一歩、一歩と
歩み寄ってきた。
「来ないで……」
僕も後退りをするけど、
背中が壁に当たり、
これ以上後退りが出来ない。
身動きが、とれない。
「来ないで……来ないで……
くる、来るな……いや……
来るなァ……!!」
足に力が入らなくなって、
僕はそのまましゃがみ込む。
「ヒドイヨ、晃太……。
ワタシ、晃太の母サンナノニ…
拒絶……スルナンテ……」
「ちがうっ、ちがうっ!
お前はお母さんじゃない!
お前は……お前は……
バケモノだ……!!」
ピタリと、
僕の目の前で
ヤツが止まった。



