一心不乱にまな板めがけて 包丁を握る手を振り下ろす。 “ああ、またなのかな” お母さんは機嫌が悪いと 暴力を振るってきたり 無視したりしていた。 だから、 今回も無視をしている んだと思った。 何も言わない お母さんの背を見つめる。 トントントントン… トントントントン… トントントントン… ただただ、 上下に動くお母さんの腕。 そんなに切り刻むほど、 なかなか具は切れないのかな。