「お父さんとお母さんには内緒だよ?」 それだけ言い残し、部屋から出て行った。 泣きながら震えている私のことなんて見向きもせず、満足気に。 初めて、人を嫌いだと思った。 初めて、人を憎いと思った。 それが実の兄だった。 「お兄ちゃん…お兄ちゃんなんか…」 消えてしまえばいいのに。 そう思ってしまった。