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小学生の頃。
何故だか“徹夜”というものに憧れを持っていた。
いつもいつも『早く寝なさい』と、無理矢理布団の中に押し込まれ、無理矢理目を閉じていたあたし達。
“徹夜”という響きがなぜだか好きで、それができたら、少し大人になれると思った。
毎年毎年、親太郎と挑戦したけれど、いつも気がついたら朝になっていて、成功したことは、一度もなかった。
小6の冬。
中学生になる前に、“徹夜”を成功させようと、親太郎の部屋で夜更かしをした。
眠くならないように、歌をうたったり、お互いの頬をつねってみたり。
今考えると、なんてしょうもない事を一生懸命頑張っていたんだろうと、笑えてくる。
あの頃は、とにかく大人になりたくて仕方がなかった。


