2人の会話を聞いていると、何だか兄弟みたいだ。
颯太くんが親太郎のベッドまで遊びにきて、親太郎は点滴につながれたまま会話をする。
それが、当たり前になっていた。
最初は無愛想な子だと思ったけど、颯太くんはとても明るくて素直な子だった。
一度は消えた笑顔が、親太郎に戻った。
でもやっぱり吐き気には苦しんでいる。
会話の途中でせき込んで、吐いて。
この1週間で、親太郎はかなり痩せた。
大好物の肉まんも、買ってきてとは頼まれなくなった。
それでも親太郎が辛い治療に耐え、笑顔を絶やさなかったのは、颯太くんという存在があったからだ。
親太郎の治療がまたひとつ増えた。
日に日に酷くなっていく副作用。
枕には、親太郎の髪の毛が落ちている。
あたしは、親太郎が見ていないところで、それを拾いゴミ箱の奥深くに入れた。
でも……
本人がそれに気付くのに、時間はかからなかった。


