彼の残した一言ひとことが、あたし達に光りを与え、希望を持たせてくれた。
今でも胸に残っている彼の無邪気な笑顔。
彼はきっと、あたし達に進むべき道を教えてくれる天使だったんだ。
そうに違いない……
それからというもの、親太郎と彼、山本颯太くんは親友のように仲良しになっていた。
颯太くんは、15歳。
中学3年生。
この病室から見えるN中学に通っていたそうだ。
中学1年の時に、親太郎と同じ病気だということがわかり、それ以来ずっと入退院を繰り返しているみたい。
「颯太。おまえ、中3のわりには声高くね?」
「これでも一応声変わりしたんだけどなぁ。親太郎だって普通よりちょっと高めでしょ?」
2人は、もう名前で呼び合うようになった。
「俺は、歌うたってるからな。そんなに低くはないかも」
「歌? バンドかなんか?」
「そうそう。高校でバンド組んで、歌ってんだよ」
「すっげー。かっけー」


