「菜緒はもう願い込めたの?」


「うん。もうばっちり」


「んじゃ、俺も願っとこうかなー」


そう言って、右手を胸に持っていき目を閉じた。



親太郎の願いは何だろう。


神様――。

どんな願いだったとしても、

どうか、親太郎の夢を叶えてやってください。


お願いします――…




窓の外は、夕日でキレイに染まっていた。


遠くに見える桜島も、夕日に顔を照らされ眩しそうに立っていた。


相変わらず山頂からもくもくと灰色の雲を出し、今日はどの方角に灰を飛ばそうかと企んでいる。


親太郎がゆっくり目を開けた。


その顔色は、夕日を浴びていても赤くは染まっていなかった。


青白く、あたしの前で見せているその笑顔は、少し我慢しているように見えた。








―Chapter 3―