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昨日作ったミサンガを持って、病院へ向かった。
スクールバッグの中からラッピングしたミサンガを取り出す。
少しいびつな形のそれは、小さな袋の中に静かにおさまっていた。
親太郎の病室に入る前に、ラッピングしたミサンガを胸に抱きかかえ目を閉じた。
どうか、親太郎の病気が治りますように――。
静かにドアを開け、少しの隙間から中を覗いてみる。
親太郎のベッドは完全にカーテンで仕切られていて、入口からでは親太郎の様子は見えなかった。
手前のベッドに横になっていた患者さんに頭を下げ、病室に入った。
あたし達より、年下だろうか。
まだ幼さの残る顔立ちだった。
頭にはグレーのニット帽をかぶっている。
その男の子はあたしを一瞥すると、無言で雑誌に視線を落とした。


