「おい、菜緒。俺の夢聞きたいか?」 「は? なにいきなり」 高校の入学式前夜。 親太郎の部屋でマンガを読んでいると、急に親太郎がはしゃぎ出した。 「聞きたいだろ」 「いや、別に」 「そうかそうか、そんなに聞きたいか。そんなら特別に教えてやろう」 いや、だから、別に聞きたくもないって。 どうせ、可愛い彼女を作る。とか 高校では成績を上げる。とか そんなもんでしょ? 読んでいたマンガをパタンと閉じ、苦笑しながら親太郎を見た。 「俺の夢は、超満員の会場でライブをすること」