「まだ吐きそう?」 背中をさすりながら聞く。 「ごめん……もう大丈夫……」 親太郎にティッシュを渡す。 「いきなり、どうしたの?」 「……わかんね。急に吐き気が……ダメだ、また吐きそう」 親太郎は、また袋に顔を入れた。 あたしは、親太郎の背中をさするぐらいしかできなかった。 吐き気で苦しそうな親太郎。 急なことで、全然頭が働かない。 ナースコールを鳴らす。なんてそんな考えは、あたしには浮かばなかった。