高校の卒業式。
あたしは学校へ行く前に、親太郎の部屋にあがらせてもらった。
親太郎の部屋は、亡くなる前となにも変わっていなかった。
ゲーム機やマンガはじゅうたんの上に出しっぱなし、制服もしわくちゃなままハンガーにかけてあった。
散らかり放題の部屋なのに、なんだかすごく落ち着いた。
まだ、親太郎の温もりが残ってたから。
親太郎の机の上には、たさくんの写真立てが置いてあった。
その殆どが、あたしと撮ったものだった。
観覧車の中でキスした直後に撮った、ぎこちないものまであった。
自然と笑みがこぼれた。
ふと、柱の印が目に入った。
しゃがんで見てみる。
小学校卒業までは、あたしの名前の方が上にあるのに。
それが中学生になると、急に親太郎があたしの背を越したんだ。
あの時の勝ち誇ったような親太郎の表情といったら。
今思い出しただけでも、笑えてくる。