心臓が高鳴った。
「はいっ!! ありがとうございますっ!!」
何度も何度も頭を下げたので、あたしの髪はボサボサだった。
先生はあたしの肩に手を当て、『もう頭を上げなさい』と優しく言った。
「外出許可はいつがいいんだ?」
「20日です。12月20日。その日は、親太郎の誕生日なんです」
あたしが言うと、先生はまた黙り込んだ。
表情が少し固くなった。
「菜緒ちゃん」
「……はい」
「前に一度話したけど、親太郎くんはもうそんなに長くはない。少し酷だけど、それはわかるよね?」
「……はい」
真っすぐに、先生の目を見て答えた。
「もしも何かあった時のために、看護師を2名つける。それでもいいかな?」
そう言うと、先生は机に向かった。
「はいっ!! よろしくお願いします!!」
先生は一度あたしを見上げて微笑んだ。
机の上に外出許可書を出し、それに記入し始めた。
「先生、ありがとうございます!!」
あたしは深く深く、頭を下げた。


