「えへへ。親太郎、びっくりしてベッドから落ちないでね」
あたしが言うと、親太郎は眉間にしわを寄せた。
「あのね、もうすぐライブできるよ!!」
親太郎は『は?』と目を丸めた。
おばさんも、親太郎と同じ顔で驚いている。
「12月20日。親太郎の誕生日ライブを行いたいと思いまーす」
「……え。マジで……?」
「マジで!!」
「俺……行けんの?」
「もちろん、主役が行かないでどうすんのよ」
「俺……歌えんの?」
「Aile D'angeのボーカルはあなたでしょ?」
親太郎は、口を横に引いて本当に嬉しそうに笑った。
久しぶりに、右頬のえくぼを見た。
「また……歌える」
親太郎の目が輝いた。
あたしの大好きな、あの目だ。


