あたしは、早く親太郎に報告したくて病院へ走った。
またライブができるよって。
揺れる会場が見られるよって。
早く伝えたい!!
「親太郎」
あたしは、静かに病室のドアを開けた。
おばさんがベッドの側に座っていた。
「あら、いらっしゃい、菜緒ちゃん」
「こんにちは」
病室に入ると、親太郎がゆっくりと寝返りを打った。
あたしを見て、力なく微笑んだ。
「なんだ……? 機嫌、いいな……」
かすれる声。
でもすぐに、親太郎はあたしのニヤける口元に気づいた。
「えへへ」
「どうしたんだ。気持ち悪い」
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