“菜緒ちゃん。親太郎ね、急に入院することになったの”


親太郎のおばさんからメールが届いたのは、コンビニのレジで会計を済ませた直後だった。


素直に病院へ行った親太郎へのご褒美。


風邪薬を抱えて、もうそろそろ帰ってくるだろうと見越して買った肉まん。


コンビニを出て、袋の中を覗き込んだ。


肉まんには、からしとポン酢。

これがないと、親太郎は必ず不機嫌になる。


食欲をそそる肉まんの匂いが、袋の中に充満していた。


せっかく冷めない様に計算して買ったのに。


入院って、なんで……?


西日が眩しい。


制服のスカートのポケットから携帯を取り出して、もう一度メールを確認した。


何度見ても、そこには“入院”の文字。


返信はしなかった。


肉まんが一つ入った小さな袋をぶら下げて、病院へ向かった。