……え?
歌……?
「……どうしたの?」
目を丸めて親太郎に聞くと、親太郎は照れ臭そうに首筋をカリカリとかいた。
「いや……日々の感謝をこめて、歌いたいと思って……」
ブツブツ小声で言った親太郎。
語尾は、ほとんど親太郎の独り言のようだった。
まるで悪いことをして叱られた小さな子供ように、あたしを見上げた親太郎。
「おまえ、毎日勉強頑張ってるだろ?俺の面倒をみながらさ。だから、俺もおまえの為になにかしたくなってさ。すげー考えたんだけど、俺にできる事って、歌を歌うくらいしかできないから……」
「親太郎……」
そんな事を考えてくれてたの?
「こんなんじゃ力にならないかもしんねーけどさ。聞いてよ。一応、作詞作曲したからさ」
「ホントに? 親太郎がひとりで作った曲なの?」
「まぁ、一応な」
「すごいっ!! 早く聞きたいっ!! 初めてだよね。親太郎の作った曲を聞くの」
あたしが興奮気味に言うと、また親太郎は恥ずかしそうに頷いた。
「まぁ、俺は気に入ってんだけどさ、おかしくても絶対笑うなよ」
「笑うわけないじゃん。あたしの為に作ってくれた歌でしょ?」
「お、おう……」
親太郎の頬が、ほんのり赤く染まった。
親太郎は一度大きく息を吸って、オルガンの鍵盤に手を置いた。



