親太郎は、真っすぐあたしを見ていた。
しばらくお互いの目を見合う。
先に頬を緩めたのは、親太郎の方だった。
「いいんじゃない?」
親太郎は歯を見せ笑った。
「初めてだな。おまえから何かを宣言してきたの」
その言葉に、あたしも笑った。
そうだね。
本当に初めてだ。
今まで、あたしは親太郎の背中にくっついて歩いてきた。
17年も、親太郎の背中にしがみついてた。
あたし達は、並んで歩いて来たんじゃないんだよね。
あたしの方が、何キロもうしろを歩いてた。
親太郎と並んで歩けるようになるには、ここで本当の“あたし”を見つけなきゃ。
将来、親太郎の道と交わることができるように、今頑張ろう。


