親太郎はあたしの言葉に目を丸めた。
あたし……
なに言ってんだろ……
「…つまんないし、わかんないよ……」
ダメ……
こんなこと、親太郎に言っちゃいけない……
でも、止められなくて。
涙と一緒に、言葉まで溢れてきて……
「先生の言ってること、あたしわかんない……。お願いだから、早く退院してきてよ、親太郎……。あたし1人じゃ…何もできないよ……」
ああ……
ほんっとに
何を言ってるんだろう。
こんなこと言って何になる。
親太郎に頼ってどうすんのよ。
自分のことは自分で解決しなきゃ、親太郎はそれどころじゃないのに。
なのに、あたし……
どこまで弱いんだろう……
「……ごめん」
親太郎は、布団の上で拳を握った。
「ごめんな、菜緒。もう少し待ってろ。もう少しだから。必ず退院して、おまえの背中、押してやるから」
「親太郎……」
「こんな大事な時期に、不安にさせてごめん。
おまえの傍についててやれなくて、ごめん。俺もここで入試に向けて頑張るからさ、おまえも頑張れ。一緒に学校に行ってやれないけど、一緒に入試を乗り越えようよ」


