アハハと苦笑いするあたしを、親太郎は不思議そうに見ていた。
けれど、何かを察した親太郎は微笑んで優しく言った。
「俺は、いつも何かをするときに“失敗するかも”なんて思ったことはないよ」
「……え?」
「ライブにしても、この治療にしても、いつも“成功してる自分”を想像するんだ。退院したら何をしよう。大学行ったらこれができる。って、自分のテンションを上げるんだよ。そしたら、おのずとやる気も出てくるし、練習だって治療だってやりがいがあるだろ? 俺はいつだってあのモットーを忘れたことはないからな。
マイナスに考えるだけ無駄。そんな暇なんてないし。俺はいますぐ学校に行っておまえらと一緒に勉強したいよ。こんな大事な時期に入院なんて信じられないよな」
親太郎は困ったように笑った。
「じゃあ……早く退院してきてよ。補習授業、親太郎がいなきゃつまんない」


