わからない……
今同じ道を選択しなくても、あとでちゃんと交わることができるの?
それこそ、遠回りになるんじゃないの?
「おい。聞いてる?」
親太郎の声で、ハッと我に返った。
そっか、もう病室に来たんだった……
ベッドの側の椅子に座ったままボーっとしてた。
「どうしたんだよ? そんなに補習大変だったのか?」
親太郎は、あたしの眉間に寄るしわを人差し指でグイっと押し、首を傾げた。
あたしは眉間に手を当て、『別に』と返した。
けど、『別に』じゃない。
難し過ぎて、答えなんて見つかりそうもないよ……
「親太郎はさ、音大、合格すると思う?」
「なんだよ? いきなり」
「いや、ちょっと聞いてみたかっただけ」


