「三浦と田沢を見てると、いずれ2人の道は交わるんじゃないかと思ってるんだ」
「あたしと、親太郎の道が……?」
先生は、真剣な表情で頷いた。
「ただ、今は同じ道を選択する時ではないと思う」
「………」
あたしが難しい顔をすると、先生は急に頬を緩めプリントを机の上に置いた。
「あとは、自分で考えてみなさい。もちろんゆっくり考えている暇はないけど、もう一度、自分と向き合う時間を作りなさい。田沢なら、ちゃんと答えを見つけられるはずだから」
先生はそう言うと、『引きとめて悪かったね。早く三浦のところに行ってあげなさい』と職員室の入り口へ歩いて行き、ドアを開けてくれた。
あたしは腑に落ちなかったけど、渋々職員室を後にした。
今は、同じ道を選択する時ではない?
いずれ交わるって言ったのに……
意味がわからない。
答えがわかってるなら、ちゃんと最後まで教えてくれたっていいじゃん。
そんな簡単に答えなんて見つけられるわけない。
音大じゃなくて、別な選択?
そんなのあるの?


