「走ってきてくれたのね。ありがとう、菜緒ちゃん」
あたしは、おばさんに頬笑みを向け首を横に振った。
「でも、一体なにがあったんですか?」
あたしが聞くと、おばさんは不安そうに眉を寄せた。
「朝、菜緒ちゃんが来てくれたあとにね、部屋で倒れたのよ。呼吸も乱れてたからすぐに救急車を呼んだんだけど、呼びかけても全然答えてくれなくてね。ぐったりしてるこの子を見てたら、怖くなって……」
おばさんが腕をさすった。
「おじさんは?」
「仕事を切り上げて、今日は早めに帰ってきてくれるって」
「そうですか」
「もう少ししたら、検査結果でるはずだから」
おばさんはそう言って、ゆっくり椅子から立ち上がった。
「のど乾いたでしょ? 何か買ってくるわね」
あたしはおばさんに頭を下げ、親太郎の手を握った。


