親太郎は、ステージを見たまま続けた。
「あの会場にはさ、当たり前だけど1年から3年までいたわけじゃん? あと、他校の生徒とかさ。いつもなら先輩後輩の関係であまり心を開くことができない人達でもさ、あの時はひとつになれてたと思うんだ」
「………」
「みんなおんなじ顔してたから。音楽ってさ、年齢性別、人種関係なく楽しめるものなんだなって。まぁ、それは音楽に限んないけどさ。でも、みんなが同じように笑顔になれて、耳で聞いて目で見て楽しめる音楽が、俺は大好きなんだ。音楽は人の心と心を結ぶ虹だと思ってるから」
「人の心と心を結ぶ虹、か」
親太郎はあたしを見て、照れ臭そうに肩をすくめた。
でも、また真剣な瞳になった。
「もっと。もっともっと、色んな人に聞いてもらいたいな」
親太郎はまたステージに目を向けると、『いつか、ここで歌えるようになれたら幸せだな』と続けた。
「親太郎なら、できるんじゃない?」
「どうだろ」
「できるよ。だって、“夢はでっかく。 目標は高く”がモットーでしょ? それを貫き通して、ライブができるようになったんだから」
あたしが言うと、『そうだな』と親太郎は微笑んだ。
「叶えようよ、その夢も。頑張れば、いつかきっと叶うよ。たくさんの人に、親太郎の歌を届けようよ」
親太郎はあたしを見下した。
強い風が吹き、身震いをしてニット帽とマフラーで顔を守っていた。
「また、新しい目標ができたな」
「うん」



