渋々OKした指揮者。
最初は、みんなに促されないと練習に参加していなかったのに。
さすがは、音楽バカ。
日が経つにつれて、親太郎が一番熱くなっていた。
練習はもちろん、スパルタで。
あたしが想像していた通りだ。
小さな頃から、いや、生まれた時からきっと、親太郎は音楽が好きなんだと思う。
別に、親太郎の家系が音楽家というわけではない。
むしろ、親太郎の家族は、音楽に対して無知だ。
どうして、野球とかサッカーではなく、音楽なんだろう。
男の子って、スポーツに興味を持つものなんじゃないの?
そう思った事もあった。
けれど。今なら、どうして親太郎が音楽を好むのか、分かるような気がするんだ。
合唱コンクールが近付くにつれて、練習の頻度は高くなり、帰りの時間も少しずつ遅くなっていった。
全体で合唱をして、親太郎が気になるところをパートごとに分けて練習をした。
どの顧問よりも、厳しかったと思う。
歌の方も何度も何度も練習が繰り返されたのだけれど、いつも一番最後まで残って練習をしていたのは、伴奏者の女子だった。


