「親太郎、気分悪い?」
廊下に片手をつく親太郎は
ううん。 と、力なく首を振った。
「ごめん。急にめまいがして……」
「一体、どうしたの?」
「わかんねぇけど…多分、貧血? 俺、食欲なくておまえの買ってきてくれた肉まんしか食ってないし」
そう言って、フラフラしながら立ち上がった。
鼻血はまだ止まっていない。
「とりあえず、鼻血が止まるまで座っとけよ」
拓海くんが、親太郎の体を支えて音楽室の椅子に座らせてくれた。
椅子に座って項垂れる親太郎は、ため息をついて、鼻に当てたティッシュを何度も確認していた。
でも、止まる気配はない。
ポタポタと流れ続ける鼻血。
とめる方法が、わからなかった。


