402号室。
ドアノブに手を当て、深呼吸をする。
今はまだ、意識して表情を作らないと、笑えそうにないから。
もう一度、大きく深呼吸。
病室からは、話し声は聞こえてこなかった。
怖いくらいに静かだ。
ゆっくりとドアを開ける。
今日は、颯太くんのベッドも親太郎のベッドも、カーテンで仕切られていた。
それだけで、嫌な予感がする。
だって、あまりにも静かすぎるから。
親太郎のベッドに歩み寄る足が震える。
滲む涙をこらえながら、カーテンに手をかけた。
シャ――…
カーテンを開ける軽い音が、妙に大きく響いた。


