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「田沢っ!!」
玄関で靴を履き替えていると、突然名前を呼ばれた。
「今から、親太郎んとこ行くんだろ?」
振り返るとそこには、高橋くん、拓海くん、叶くんの3人が立っていた。
「うん」
「だったらさ、これ、持っていってくれない?」
叶くんの手から渡されたもの。
それは――。
「文化祭でやろうって思ってる曲。親太郎の好きな曲だからさ」
親太郎が昔から好きなバンドの曲が何曲か書かれた紙だった。
「俺らも、見舞いに行きたいんだけどな」
俯きながら言ったのは、拓海くんだ。
「でもさ……俺、あいつの前で、うまく笑える気しないんだ……」


