仕事が片付き、
彼女と待ち合わせた駅に着けば…
先に待っていた彼女と、
そして、
以前に見たコトがある?
女性が一緒にいた
「課長」
「悪い、待たせたな…
山内くん、こちらの方は…?」
彼女に視線をやってから、
隣にいる、女性の顔を見た
「あら、もう、お忘れになったのかしらぁ~
以前、あなたの会社のパーティーで
何度かお目にかかってますケド…
その様子じゃ、
覚えてらっしゃらないようね…」
そのへんの安物とは
到底思えない
フォックスファーを襟元に巻き
高飛車な態度のご婦人…
「主人は、
今月からお宅の会社の傘下になった
宮原工業副社長、宮原誠司ですわ
その節は、主人がお世話になりまして…」
思い出せ、と
いうような表情の物言いをし、
右手を差し出す
「あぁ、どこかで
お目にかかったと思えば、
宮原副社長の奥様でしたか…
すみません…
最近、もの覚えが悪くて…
よろしければ、
今一度、奥様のお名前
教えていただけると有難いですが…」
差し出された右手に
俺の右手を出し、軽く握手した

