「…それからだったよな。俺達が以前にも増して、しっかりと手を握り合う様になったのは。
今でも親友だぜって。」
「…勿論、今でも私達は友達。でも、潤と喧嘩した時、何時も思うの。

私が女の子だって意識が潤にあるから、昔みたいに、ぶったりしない。
ああ、純粋な友達時代にはもう、戻れないんだって。

小学校を卒業して、『木口潤』という親友とは、永遠にお別れしちゃったんだなって。」
「やっぱり、俺があの時からかわなければ、何時までも純粋な友達でいられたのかな。」

あの夜と同じく、桜の花びらは、少し潤いを帯びているかの様に、淡雪の様に仄かに輝いていた。

かれんは首を横に振った。

「…変わらなかっただろうな。だって、潤にからかわれる前からすでに、自分の容姿をよく見られたい、潤にだけはよく見られたいって思い始めていたから…」