楽園─EDEN─


その死体の側まで行くと、死の国へと旅立った少女の体を労る様子もなく、乱暴に足で小突くカオリ。


“カオリ=ローゼン・クロイツ”

…彼女は、闇に生きる人種だ。


「しかし…お前が不覚を取るとはな」

「…申し訳ありません」

完全に嫌味混じりで言われたその言葉にも、アダムはただ謝罪の言葉を口にするしか無かった。


そう、確かに不覚だった。
アダムは自分のその不覚の至る所を思い出し、悔しさに歯噛みする。


「まぁ…こんな小癪な手を使われたら、仕方がない…か」

そう言って、カオリは冷たい地面に転がる少女の髪の毛を無造作に掴んで引っ張った。


途端、その頭からスルリといとも簡単に抜け落ちる銀の毛髪

最早、命を失ってこそ初めてその少女は…その本来の姿を現したのである。

銀髪のつけ毛の下から現われたのは、強い癖のある赤茶色の髪の毛が現れ…後にも先にも全く、見覚えのない少女だった。


こんな陳腐な罠に……

アダムはその屈辱に、利き手である左の手のひらをグッと握り締める。