きっと、先輩はわかっているんだ。

あたしが一瞬でも彼の姿に心奪われたことを。

わかっていて、あの笑顔だ。




ひとりぼっちの部屋に帰って、ベッドに飛び乗る。

マットレスを拳で叩く。

思い切り。


「く、やし~~~~い……!」


ボスッボスッと何度か叩いて、枕に顔を埋める。







――顔の熱さには気づかないフリをした。