学校を休んで、次の日。

ホームルームがはじまるギリギリの時間に教室に入る。


クラスメイトの何人かがあたしをちらりと見て、すぐに視線を外した。


「おはよう、小早川さん。昨日、休みだったね。どうしたの? 風邪?」


ひとりだけ、女子が話しかけてくる。

柔らかな笑い方をする、女の子らしい女の子。


クラスで浮いているあたしに、この子だけはいつも話しかけてくる。


「別に。面倒臭くて」

「そっか。小早川さんもサボったりするんだ」


クスクスと笑っている彼女の前で、きっとあたしは能面のような顔をしている。


「昨日ね、放課後教室でお喋りしてたら、美術部の先輩が訪ねてきたよ。小早川さんが部活に来ないから心配したみたい」



「…そう」

きっと、あの男だ。忌々しい。