「ほい、パスな」
桜橋奏斗は桜橋凛斗に私を勝手に受け渡す。
「さて、頼んだぜ!」
そう桜橋奏斗は言い残し、勝手に走り去った。
え、ちょ、え!?
私は桜橋奏斗の後ろ姿を見ることしかできなかった。いや、“見る"じゃない。
“睨む"だ。
全く面識もない男と二人きりにされて・・・どうすればいいかわかんない!
私は戸惑っているのをばれたくなくて、ずっと桜橋凛斗とは目をあわせないでいた。
それなのに・・・、
桜橋凛斗は私に向かって口を開いた。
「名前、なんていうの?」
桜橋凛斗は馴れ馴れしく言った。
私が誰だかわからないの?
私もまだまだっ有名ではなかったみたいだ。
この学校はおろか、地域のヤンキーには知られていたのだと思っていたが・・・。
私は質問に答えるため、口を開いた。
「伊織。佳山伊織。」
私はそれだけ言い放った。
余計な言葉は足さなかった。
「ええ!佳山伊織さん?
・・・さすが奏斗・・・。
・・・女って化けるもんだなーっ」
桜橋凛斗は私の顔を至近距離で見た。
ち・・・近い・・・
そして私の頬に触る。
思わず触れられたところにジワジワ熱が広がる。
本当はドキッとした。
でもそんな様子を見せたくなくて、私は声をだした。
「どういう意味なんですか?
嫌味を・・・言いたいんですか?」
私は得意の口元は笑うけど目は笑わない作戦にでた。
大抵の人は・・・ビビる、はず。


